○白石市自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例

令和5年3月10日

条例第2号

(目的)

第1条 この条例は、本市の豊かな自然環境、美しい景観及び安全安心な生活環境の保全と再生可能エネルギー発電設備設置事業との調和を図るために必要な事項を定めることにより、自然環境及び生活環境に配慮した、いつまでも住み続けられるまちづくりに寄与することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 再生可能エネルギー源 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号)第2条第3項各号に掲げる再生可能エネルギー源をいう。

(2) 再生可能エネルギー発電設備 再生可能エネルギー源を電気に変換する設備及びその附属設備(送電に係る電柱等を除く。)をいう。

(3) 事業 再生可能エネルギー発電設備の設置(当該設備を設置するために行われる土地の造成工事(立木の伐採、切土、盛土等を含む。)を含む。)及び当該設備による発電を行う事業をいう。

(4) 事業者 事業を計画し、これを実施する者をいう。ただし、国及び地方公共団体を除く。

(5) 事業区域 事業を行う一団の土地(再生可能エネルギー発電設備に附属する管理施設、変電施設、緩衝帯等に係る土地を含む。)の区域であって、柵、塀等の工作物の設置その他の方法により当該一団の土地以外の土地と区別された区域をいう。

(6) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。

(7) 自治会等 その活動区域に事業区域を含む地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2第1項に規定する地縁による団体その他これに類する団体をいう。

(8) 住民等 自治会等の活動区域又は事業により影響を受ける可能性を有する区域に居住する者及びこれらの区域に所在する法人その他団体並びに土地若しくは建築物を所有し、又は使用する者をいう。

(9) 廃棄物 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。

(10) 所有者等 事業区域の土地の所有者、占有者及び管理者をいう。

(基本理念)

第3条 市の豊かな自然環境、美しい景観その他安全安心な生活環境は、市民の長年にわたる努力により形成されてきた市民共通のかけがえのない財産であり、現在及び将来にわたってその恩恵を享受し、持続可能な未来を継承できるよう、市民の意向を踏まえて、その保全及び活用が図られなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、この条例の適切かつ円滑な運用を図らなければならない。

(事業者の責務)

第5条 事業者は、関係法令及びこの条例を遵守するとともに、市の豊かな自然環境、美しい景観、その他安全安心な生活環境に十分配慮し、住民等との良好な関係の保持並びに地域振興に寄与するよう努めなければならない。

2 事業者は、自然環境等を損ない、災害による被害等が発生しないよう再生可能エネルギー発電設備及び事業区域を適正に管理しなければならない。

3 事業者は、事業で発生する廃棄物を適正に処理するとともに、事業を終了しようとするときは、再生可能エネルギー発電設備を放置することなく速やかに撤去し、及び適正に処分し、並びに事業区域に係る土地を原状に回復しなければならない。

4 事業者は、事業終了後に前項に規定する対策を速やかに講じるため、必要な資金の確保に努めなければならない。

(市民の責務)

第6条 市民は、基本理念にのっとり、この条例に定める手続の実施に協力するよう努めなければならない。

(所有者等の責務)

第7条 所有者等は、基本理念にのっとり、事業により、自然環境等を損ない、又は災害の発生を助長するおそれのある事業を行おうとする事業者に対し、土地を使用させないよう努めなければならない。

2 所有者等は、基本理念にのっとり、事業により、自然環境等を損ない、災害による被害等が発生しないよう、事業者に対し、土地を適正に管理することを求めなければならない。

(適用を受ける事業)

第8条 この条例の規定は、発電出力10キロワット以上の事業に適用する。ただし、太陽光を再生可能エネルギー源とする事業で、次に掲げる事業については、この限りでない。

(1) 建築物の屋根、屋上に設置する事業

(2) 次条第1項に規定する抑制区域以外の区域において、個人が自己の居住する土地及び隣接する土地で行う発電出力50キロワット未満の事業

2 前項に規定する発電出力は、実質的に一体と認められる場所で、複数の再生可能エネルギー発電設備に分割して設置する場合は、合算した発電出力とする。

3 この条例の規定は、既に設置された再生可能エネルギー発電設備を増設することにより、前2項に規定する発電出力以上となる事業においても適用する。

(抑制区域)

第9条 市長は、次に掲げる区域のうち特に必要があると認めるときは、規則で定めるところにより、事業者に再生可能エネルギー発電設備の設置を抑制する区域(以下「抑制区域」という。)を指定することができる。

(1) 豊かな自然環境が保たれ、地域における貴重な資源として認められる区域

(2) 特色ある景観として良好な状態が保たれている区域

(3) 歴史的又は文化的な特色を有する区域として保全する必要がある区域

(4) 土砂災害その他自然災害による被害の危険性が高い区域

(5) 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める区域

2 市長は、必要があると認めるときは、前項の規定により指定した抑制区域を変更し、又はその指定を解除することができる。

3 市長は、第1項の規定により抑制区域を指定しようとするとき又は前項の規定によりその指定を変更し、若しくは指定の解除をしようとするときは、白石市環境基本条例(平成7年白石市条例第22号)第22条に規定する白石市環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

(説明会の開催)

第10条 事業者は、事業を実施しようとするときは、次条第1項の規定による協議を行う前に、住民等に対し、事業に関する説明会を開催しなければならない。ただし、市長が説明会を開催することが困難であると特に認めるときは、この限りでない。

2 前項の規定は、次条第2項の規定による変更の協議について準用する。ただし、事業の変更が規則で定める軽微なものであるときは、この限りでない。

3 事業者は、設置しようとする再生可能エネルギー発電設備の出力の合計が50キロワットに満たない場合には、住民等への戸別訪問その他適当な方法をもって住民等に当該事業に関する計画(以下「事業計画」という。)を周知することにより、前2項の説明会に代えることができる。

4 住民等は、事業者に対し、事業計画について意見を申し出ることができる。

5 事業者は、前項の規定による意見の申出があったときは、当該申出をした住民等と協議しなければならない。

6 事業者は、住民等の理解を得られるよう努めなければならない。

(協議の届出)

第11条 事業者は、第8条に規定する事業の実施について次条第1項に規定する市長の同意を得ようとするときは、当該事業に着手しようとする日の90日前までに、次に掲げる事項を市長に届け出て協議しなければならない。

(1) 事業者の氏名及び住所(法人にあっては、その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地。第21条第1項において同じ。)

(2) 事業の着手予定日及び完了予定日

(3) 事業区域の所在地及び面積

(4) 事業の内容

(5) 前各号に掲げるもののほか規則で定める事項

2 事業者は、前項の規定により同意を得た事項を変更しようとするときは、速やかにその旨を市長に届け出て、協議しなければならない。

(同意)

第12条 事業者は、事業を実施しようとするとき、又は実施している事業を変更しようとするときは、市長の同意を得なければならない。

2 市長は、事業区域の全部又は一部が抑制区域に位置するときは、同意しないものとする。ただし、市長がこの条例の目的に照らして支障がないと認めるときは、この限りでない。

3 市長は、同意に際し、自然環境等の保全及び災害による被害の防止のために必要な条件を付することができる。

4 事業者は、前項に規定する条件について、必要な措置を講じ、その結果を市長に届け出なければならない。

(審査及び協議結果の通知)

第13条 市長は、第11条に規定する届出があった場合は、協議に係る審査を実施し、必要に応じて、審議会の意見を聴くことができる。

2 市長は、協議が終了したときは、事業者に協議結果を通知するものとする。

(事業の着手等の届出)

第14条 事業者は、事業に着手し、又は事業を完了し、中止し、若しくは中止していた事業を再開するときは、速やかにその旨を市長に届け出なければならない。

(事業の確認)

第15条 市長は、前条の規定による届出があったときは、速やかに市の職員に現地を確認させるものとする。

(地位の承継)

第16条 事業者から事業譲渡等によりその地位を承継した者は、地位を承継した日から起算して30日以内に市長に届け出なければならない。

(災害及び事故発生時の対応)

第17条 事業者及び所有者等は、事業区域内における災害及び当該災害に起因する自然環境及び生活環境への被害が発生するおそれがあると認められるときは、速やかに現地を確認し、早急に必要な措置を講じるとともに、住民等に周知し、市長に通報しなければならない。

2 市長は、事業者及び所有者等から前項に規定する通報を受けたとき又は同項の被害が発生するおそれがあると認められるときは、当該事業者及び所有者等に対し、当該事態が生じることを防止するために必要な措置を講じることを求めることができる。

3 事業者及び所有者等は、事業の実施に伴い事故等が発生したとき又は住民等と紛争が生じたときは、自己の責任において誠意をもってこれを解決し、再発防止のための措置を講じなければならない。

(事業の終了)

第18条 事業者は、事業を終了するときは、あらかじめ規則で定めるところによりその旨を市長に届け出なければならない。

2 事業者は、再生可能エネルギー発電設備の撤去が完了したときは、撤去を完了した日から起算して30日以内に市長に届け出なければならない。

(報告及び立入調査)

第19条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、事業者に対し報告及び資料の提出を求め、並びに市の職員に事業区域に係る土地に立ち入り、当該事業に関する事項について調査させ、又は関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により立入調査をする市の職員は、職員証を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入調査の権限は、これを犯罪捜査のために認められたと解してはならない。

(助言、指導又は勧告)

第20条 市長は、必要があると認めるときは、事業者に対して、必要な措置を講ずるよう助言又は指導を行うことができる。

2 市長は、次の各号のいずれかに該当すると認められるときは、事業者に対して、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(1) 第11条の規定による届出を行わないとき、又は届出の内容に虚偽があるとき。

(2) 第12条第1項の規定による市長の同意を得ずに事業に着手したとき。

(3) 前条第1項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告若しくは資料の提出をしたとき。

(4) 前条第1項の規定による立入調査を拒み、若しくは妨げ、又は忌避したとき。

(5) 前条第1項の規定による立入調査の際に質問に答弁せず、又は虚偽の答弁をしたとき。

(6) 正当な理由がなく前項の規定による助言又は指導に従わなかったとき。

(公表)

第21条 市長は、前条第2項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由なく勧告に従わないときは、当該勧告に従わない事業者の氏名及び住所並びに当該勧告の内容を公表することができる。

2 市長は、前項の規定により公表しようとするときは、あらかじめ、当該事業者に弁明の機会を与えなければならない。

(委任)

第22条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前において、再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法第9条第1項の規定による申請を行った事業(以下「再エネ特措法による申請済事業」という。)について、この条例の規定は、適用しない。

3 前項の規定にかかわらず、施行日前において、再エネ特措法による申請済事業であっても現に工事に着手していない事業については、この条例の規定(第12条及び第20条第2項第2号を除く。)を適用する。

4 施行日以後90日を経過する日までの間に工事に着手しようとする場合は、第11条第1項中「当該事業に着手しようとする日の90日前までに」とあるのは、「速やかに」と読み替えるものとする。

白石市自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例

令和5年3月10日 条例第2号

(令和5年3月10日施行)